傷物令嬢の最後の恋

レビュー(1件)
著者:瑪々子

オーレリアには、こめかみに醜い傷がある。それは、魔剣の使い手である婚約者のトラヴィスを庇ったことにより、かつて負ったものだった。オーレリアは、幼い頃は治癒師としての将来を切望されていたけれど、周囲の期待に反してその能力は伸び悩んでいた。それに対して、トラヴィスはその優れた才能を開花させ、飛ぶ鳥を落とす勢いで名を上げていた。

トラヴィスの態度が少しずつ冷たくなっていく中で、オーレリアは、彼が婚約を続けているのは、彼女が負った醜い傷に負い目を感じているためだと言っているのを目の前で聞いてしまう。トラヴィスとの別れを選んだ傷心のオーレリアだったけれど、彼女の元に、かつては天才と呼ばれていた魔剣の使い手であるギルバートの家から、一人の少年が訳ありの縁談を持ち込んで来た。

「あなたにお願いがあります。僕の兄のギルバートを看取ってはいただけませんか?」

突然の申し出に戸惑うオーレリアだったけれど、ギルバートが死の床にあることを知り、家でも居場所を失っていた彼女は、必要としてもらえる場所があるのならと縁談を受けることを決める。

それまで心を閉ざして臥せっていたギルバートには、オーレリアと心を通わせるうちに少しずつ変化が起こり始め…?

ハッピーエンドのラブストーリーです。

(タイトルは変更の可能性があります)

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レビュー

  1. なーさん より:

    あらすじ
    治癒師の家系の娘・オーレリアはトラヴィスと婚約していたが、国を挙げた魔物討伐の際、オーレリアが期待通りの活躍ができなかったことでトラヴィスの心は離れていた。
    それでもトラヴィスを魔物から守った際、彼女のこめかみに傷がついた罪悪感から辛うじて婚約関係が続いていた。しかしオーレリアよりも治癒師としての能力が高い妹のブリジッドによりトラヴィスを奪われ、婚約が破棄される。

    失意の中、フィル・エリーゼルから声を掛けられ、魔物討伐以降、床に伏している兄・ギルバートに手を貸して欲しいと依頼される。その内容とは、もう先は長くない兄・ギルバートと結婚し、彼を看取って欲しいこと。そして、もしオーレリアが望むなら、兄亡き後は自身の妻になって欲しい。
    望まないなら、一生生活には困らない金銭を渡すというオファーで………

    感想
    世界観が「剣と魔法のファンタジー世界」でありながら、ギルドやパーティーではなく貴族社会を舞台としてるのが印象的。
    ジャンルとしては実は『追放ざまぁ』に近いかな?

    ・先代侯爵夫妻が若くして相次いで亡くなったこと
    ・ギルバートがかつて、ある治癒師と婚約関係であったにもかかわらず、他の魔剣師の青年と駆け落ちしてしまったことから心を閉ざしてしまったにもかかわらず、なぜ一度助けた程度のオーレリアを受け入れたのか

    という謎を呈示し、最後の最後でその伏線をうまく回収している。