【本編完結済み】王妃になる予定でしたが、偽聖女の汚名を着せられたので逃亡したら、皇太子に溺愛されました。そちらもどうぞお幸せに。

レビュー(1件)
著者:糸加

「エルヴィラ・ヴォダ・ルストロ。お前を聖女と認めるわけにはいかない! お前が育てていた『乙女の百合』は偽物だった! この偽聖女め!」

アレキサンデル様が、わたくしをそう罵ります。
皆が驚きの声をあげました。

「エルヴィラ様が聖女でなかった?」
「何かの間違いでは?」

それもそのはず。
本来なら、わたくしが、正統な聖女だと認定されるはずの儀式です。
それが、一転して、「偽聖女」呼ばわり。
さらにアレキサンデル様は、宣言します。

「聖女ではない女とは結婚できない! お前との婚約は白紙に戻す」

そこで、初めてわたくしは、口を開きました。

「ーー承知しました」

※カクヨム様でも連載してます。
※本編完結しました。番外編「ローゼマリーの恋」連載中です。
※書籍化決定しました!11/10にツギクルブックス様から発売されます。イラストははま先生です!
皆様のおかげです。ありがとうございます。
※コミカライズ決定しました!

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レビュー

  1. Mr.h より:

    エルヴィラは公爵令嬢で聖女せあり、前王の崩御によりトゥルク王国王に即位したばかりの若きアレキサンデル王の婚約者だったが、聖女の証拠である『乙女の百合』が偽物であるという疑いをかけられた上、大神官に偽聖女と見做された上にその場で婚約破棄を言い渡された挙げ句、男爵令嬢ナタリアを新聖女とされ、彼女を新しい婚約者とする旨を告げられるという屈辱を受ける。

    これまでの功績を鑑みナタリアの補佐として王宮に残ることを許されるが、それを断り国を出ることにする。
    アレキサンデル王は彼女の行方を把握するため護衛を付けることを申し出るが、王の意図を理解しているエルヴィラはそれを断るも、王の申出を断ったことにキレるアレキサンデル王とエルヴィラの父で伯爵のルストロが揉める中、招待客の一人だったゾマー帝国皇太子ルードルフが護衛役を引き受けることになると同時に彼はエルヴィラに求婚する。

    エルヴィラがトゥルク王国を離れるとすぐさま王国で山崩れや川の氾濫、湖の枯渇、船の沈没と様々な災害が立て続けに発生する――が序盤のあらすじ。
    本作もまた、冒頭で『偽聖女とされた主人公が婚約破棄される』という『偽聖女モノ』であり、放逐後に元いた場所で様々な災難が発生することから『追放ざまあ』の要素も併せ持っている。

    ゾマー帝国皇太子ルードルフを招待したのがエルヴィラの父親であるルストロ公爵となっているが、貴族の中でも最上位である公爵が他国の皇太子と繋がっていることそして娘であるエルヴィラ追放後、ルストロ公爵夫妻が夫人の郷里で長子のリシャルドが留学するキエヌ公国に雲隠れすることで、トゥルク王国の基盤はあまり強くなく、決して一枚岩ではないことそして『帝国』であるということは内地のほかに植民地や属国が存在することを示唆するため、パワーバランス的にゾマー帝国のほうが強い立場であることそしてルストロ公爵が帝国側につけば王国が瓦解しかねないほどのキャスティングボートであることを序盤だけで読み取ることができる。

    また、結果的にエルヴィラを追い出す形となったナタリアだが、聖女としての能力は無く、意図せず貴族や臣民たちの感情を逆なでするものの、素直な努力家である描写を入れることで彼女が『悪役』ではないことを示唆する一方、教養の欠如により田舎のヤンキーのような価値観と矜持の持ち主であることを露わにしているのが分かる。