★★★ 2023年7月25日 小説1巻発売予定! ★★★
ある日、勇者召喚が行なわれたが、主人公だけは転生してしまった。
容姿が変わった彼はトーイと名乗り、異世界を自由に生きることにした。
転生したトーイはひょんなことから売れ残った老婆の奴隷アンネリーセを購入する。そのアンネリーセを買って最期を看取ってやるつもりでいたが、アンネリーセの本当の姿は絶世の美少女だった。
その世界にはダンジョンがあり、トーイはアンネリーセと共にダンジョン探索をする。探索者として先輩のアンネリーセにアドバイスを受けつつトーイは徐々に成長していき、いつしか人類最強へと至るのだった。
転生したことでトーイが得た能力は、ステータスを自由に見る能力、ジョブを自由に変えられる能力、そしてユニークスキルの詳細鑑定とアイテムボックスだった。チートと言うほどチートではないそれらの能力を駆使してトーイは成長していく。
レビュー
クラス全体が勇者召喚される一方、虐められていたことから唯一召喚を拒否した『俺』こと藤井は、神によって最低限の道具と金子だけ持たされ、森の中へ放り込まれてしまいます。
藤井は小川の水面に映る自身の姿が以前と大きく異なり、中性的な風貌をしていることから自らをトーイと名付けました。(以下トーイ表記)
辛うじてたどり着いた道を辿って移動しようとした刹那、五台の馬車で移動していたケモ耳少女や美人のエルフたちが何者かに襲われているのを目の当たりにしたトーイは、襲っているのが盗賊であることを確認し、彼女たちを助太刀しました。
そして商人ゴルデオから臨時収入を得てひとまず近くの街である王国第二の都市・ケルニッフィにて投宿することにします。しかし商人ゴルデオから半ば無理矢理アンネリーセという老婆の奴隷を買わされてしまいました。
一方、王女エルメルダのもとに召喚されたトーイ以外の34名の生徒たちのうち、4名が勇者として見込みがある一方、12名に犯罪歴があること、しかも4名の勇者候補のうち3名に犯罪歴があることに驚きを覚えていました―。
クラス35人のうち1名が召喚拒否で転生、残り34名のうち12名に犯罪歴があるというなかなかの設定を提示することで、召喚前のクラスがある学校がかなりの底辺校であること、そしてその中で虐められていたトーイは底辺校によくいる真面目で大人しいが心の闇が深い陰キャだったことが示唆されています。
しかしその一方、頭が回る…という側面もあるため、存在そのものが謎であることも示唆されています。
また、アンネリーセが老婆の割に大食いであること、二番目の奴隷であるゴブリンのロザリナの色々な意味における秘められた力もまた、伏線かと思われます。
ゲームシナリオを読んでいるような気分でサクサクと読めます。