津賀田小葉(つがた このは)は落ちこぼれだった。学校の成績は下から数えた方が早く、運動能力もさほど高くない。加えて、学校では軽いイジメにもあっている。
そんな何も持っていない少年にも、ひとつだけ心の拠り所があった。幼馴染にして義妹である葛葉(くずは)の存在だ。
彼女は小葉とは異なり優秀な人間で、彼の自慢の家族だった。
両親が事故死した小葉にとって葛葉は唯一の身内であり、支えるべき対象。だから、彼は努力した。慣れない家事を必死に覚え、葛葉が楽できるようにバイトを掛け持ちした。
それにより、体はボロボロで勉学にも身が入らなかったのだが、小葉は気にしなかった。全ては葛葉のためだからと。
しかし、あるバイト帰りの日。小葉は耳にしてしまう。
「あれはアタシの所有物。一生アタシの言うことを聞く奴隷なんだから」
葛葉がそのような発言をしているのを。
ショックを受け、精神的疲労から気絶してしまう小葉だったが、そこから何故か異世界召喚されることになり――!?
これは、義妹のために才能を使い潰していた少年が異世界転移を経て才能と自信を取り戻し、最終的に義妹との縁を断ち切る物語。
レビュー