イーリスは、突然、婚約者にふしだらだなどと言われて小さくため息をついた。
なんせ彼の主張は、婚約前に男と付き合っていたイーリスはふしだら極まりなく穢れていて、到底、そのことを黙って婚約をしたイーリスを許すことなどできないというものである。
しかし、婚約する前に顔合わせを提案した時に、それを拒絶したのは彼であり、それにイマドキ、跡取り令嬢であるイーリスのような女性にそんなものを求めるなどお門違いだ。
けれども彼の主張はどんどんと苛烈になっていき、最終的には一年の禊の旅に出てこいとまで言う。
それが出来ないのならば婚約破棄だとも。
ならば婚約破棄でいい、そう言い切って話を終わらせたが、今度は何故だか婚約破棄を拒んできて、イーリスは、友人のツェツィーリエに相談を持ち掛けたのだった。
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