王妃アイリーンは「花の盛りは過ぎた」と突然の離縁を告げられる。息子と娘を育て上げ、妻としての務めを果たし終えた彼女は、故国エルダーフラウ王国に戻る。そこで再会したのは、かつて魔術師になりたかった若きアイリーンを断った、懐かしい金髪の魔術師だった。
「あの時はごめん。……苦労したんだってね、あっちで」
「終わった話だわ。謝罪もいらない。魔術を教えて。今なら、魔術を習ってもぶってくる父も家庭教師もいないから。ね?」
自由の身になったアイリーンは趣味として魔術を学び始め、同好の士と交流を深めたり、自由で穏やかな余生をいきいきと過ごす。
魔術の腕が上がるにつれ彼女の体は若返り、『魔術師』の素質が現れることに。そして次第に金髪の魔術師が、かつて彼女に夢を諦めさせた真意にも気付いていき――
人生の終わりと思えた離縁から、新たな人生が始まる物語
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