――その日、愛していなかったはずの旦那様が死んだ。
感情を知らない令嬢アレクシア。
人を愛せず、愛されることもなく、人形のように生きてきたはずの彼女の平穏は、夫クロノスの死によって崩れ去った。
彼から遺されたのは、五通の手紙と「君のことなんて少しも愛していなかった」という言葉。
しかしながら、アレクシアは諦めなかった。
「……どこかで、クロノス様が生きてるんじゃないかって思っているのです」
そんな、一縷の可能性を胸に、アレクシアは衝動的に五通の手紙を届ける旅に出た。
手紙に導かれながら、アレクシアはクロノスと婚約した時からの思い出を辿っていく。
五通の手紙は何のために残したのか、夫は死んでしまったのか、自分は本当に愛されていなかったのか――。
これは、不器用な旦那様と無感情の令嬢が紡ぎ直す、「愛」のおはなし。
◇全5章予定。毎日1話~2話更新。
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