「本当にソレと結婚するんですの?」アンニーナはそう、婚約者のリクハルドに問いかけた。
すると彼はアンニーナのソレという言葉を指摘する。ガタイがいいからと言ってそんなふうに言うなと。
しかしアンニーナは、ソレを見つめる。ドレスは着ているが胸元がパつんと張っていて、口元には今朝剃ったばかりの青髭の跡。
ソレはどこからどう見ても男だ。
普通は見違えない。しかし彼は、結婚して彼を守ってやるつもりらしい。
そんなポンコツでお気楽な王子と、それをざまぁするだけの日常を送っているだけ……のはずだった。
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