「お姉さまと違って、私は全部を手に入れた」そう言って妹のフローラは笑みを浮かべる。
ハイディはそんなその様子をみて、わざわざ報告なんてしなくてもいいのにと考える。
ブランシュ伯爵家の跡取りの地位も、お父さまの愛情も、婚約者も、宝石も、ドレスも何もかも、すべてがフローラのものになった。
王族からもご機嫌を窺いにやってくるのだと自慢する彼女は少し前までそれほど傲慢な人間ではなかった。健気にハイディの後ろをついてきて慕ってくれる妹だったのだ。
どうしてこうなったのかやはり、あのことが原因だろうと思う。
国に大きな魔獣が出た時の事、王族は直々にブランシュ伯爵家のハイディに頭を下げに来た━━━━。
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