「近頃、カロリーナ嬢に言い寄られているんだ」
ある日、夫のローレンは深刻そうな顔をしながら、私に向かってそう告げた。
「……あら、そうなんですか」
私に何を言いたいのかしら。愛らしいカロリーナ嬢に心を奪われ、私と離婚したいとでも?
だけど、あなたの性格を考えればそんなことはあり得ない。
「しかし僕が愛しているのは君だ!!」
「…はいはい。」
夫は、私のことを心から愛しているのだから。
しかし、それでもカロリーナ嬢は面倒な存在だった。
カロリーナ嬢はローレンに公然の場でアプローチを仕掛け始めた。自身の病弱さと権力を駆使して、ローレンの優しさを利用し付きまとうようになったという。
しかし互いの立場上、強く出ることも出来ない。何よりも優しいローレンが病弱な令嬢に強くものを言うことは出来るわけがないのだ。
(あざとく、ずる賢く、めざとい女。だけどね、そんな女は私一人で十分なのよ)
それならば、妻である私が優しい夫に代わって対処法を考えなければいけないわね……。
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