「婚約者の補佐役」
そう呼ばれる立場で、令嬢ノエラは数えきれない実務をこなしてきた。
交渉整理、書類作成、判断の尻拭い。
すべては“婚約者だから当然”という言葉のもと、無償で、名前も残らず消費されていく。
だがある日、婚約者の重大な失策を押し付けられたことで、ノエラは気づく。
これは支え合いではない。
ただの役割の誤配だ、と。
「その婚約、私の仕事ではありません」
彼女はそう告げ、婚約を解消する。
感情的でよく喋るが、判断は理性的に。
自分の職能を、自分の名前で取り戻すために。
その能力を正当に評価したのは、王宮実務を担う侯爵家の人物だった。
初めて“個人”として扱われ、責任と評価が一致する場所へ迎えられたノエラは、
仕事ではなく、対等な選択として新たな婚約を結ぶ。


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