「よく来たなリーゼル。俺がヴァルター・ラングハイムだ」
義妹に婚約者を奪われた子爵令嬢のリーゼルは、亭主関白で有名な土地柄であるラングハイム領の領主、ヴァルターと結婚することとなった。
ヴァルターはとても背が高く雄々しい佇まいをしており、優雅に空を舞う大鷲を連想させた。
「よ、よろしくお願いいたしますヴァルター様。リーゼルでございます」
「うむ、よろしくな。――知っているとは思うが、我がラングハイム家は、代々亭主関白な家系だ。リーゼルも我が家の嫁になったからには、亭主である俺の言うことには、何でも従ってもらうぞ」
「は、はい、承知しております」
いよいよ地獄の亭主関白生活が始まるのかと、リーゼルが身構えた、その時だった――。
「うむ、ではまず最初に――何だお前のその服はッ!」
「っ!?」
ヴァルターはリーゼルの着てきた、みすぼらしいドレスをビシッと指差す。
勘当同然に家を追い出されたリーゼルは、ボロボロのドレスしか与えられなかったのだ。
妻となる女がこんなボロ雑巾みたいな格好で嫁いで来たら、怒りたくなるのも当然だろう。
「も、申し訳ございませんでした……! ヴァルター様の――」
「それではお前の『美しさ』が、全然引き出せていないではないかッ!」
「…………え?」
※カクヨムにも転載してます。


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