公爵令嬢エレオノーラは、王太子の婚約者として育てられてきた。
愛ではなく役割を果たす覚悟こそが価値だと信じ、その立場を全うしてきた彼女に、ある日、公の場で突然の婚約破棄が告げられる。
理由は「冷たく、愛を知らないから」。
王太子は平民の少女との恋を“真実の愛”だと語り、すべてを感情で切り捨てた。
エレオノーラは反論しない。
泣き叫びもしない。
ただ礼を尽くし、婚約者としての役割を終える。
実家へ戻った彼女は、肩書きを失ったことで初めて「名前で呼ばれる存在」になる。
頼られ、話を聞き、必要とされる日々の中で、王太子の隣では得られなかった確かな手応えを知っていく。
やがて王宮は混乱し、かつて軽んじられた彼女に再び声が掛かる。
だが、戻ることはない。
選ばれる人生ではなく、選び直す人生を選んだから。


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