国境紛争が続くのに、貴族の社交は変わらない。侯爵家三女アーデルハイトは輪に馴染めず、姉たちの陰で「役立たず」と扱われ、名を呼ばれない日々に慣れていた。そんな彼女に父は命じる。紛争相手国へ向かう使節団に同行しろ、と。選ばれたのではなく、余ったから。
異国の会議では停戦中の攻撃の責任を押し付けられ、彼女は納得できる罪人として差し出されかける。だが敵国の辺境伯オズヴァルトが流れを断ち切った。「侯爵令嬢が兵を動かせるはずがない」淡々とした指摘で濡れ衣は崩れ、彼は彼女を領地へ連れ帰る。
罰も条件もなく「何もしなくていい」と告げられたことで、役割がなければ捨てられる恐怖が暴れ出すアーデルハイト。祖国は返還を求めるが、オズヴァルトは即断する。「返さない。そなたはここにいる」理由も求められず、撤回もされない居場所の中で、彼女は初めて自分で選ぶ――彼の「妻として扱いたい」という言葉を。
敵国の辺境伯が、私を返さない
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