「君のその力は気味が悪い」
そう言われて婚約を破棄され、実家からも居場所を失ったエルマ。
彼女には、誰にも言えない秘密がありました。
それは、動物たちの声が「言葉」として聞こえてしまうこと。
生きるために彼女が選んだのは、魔獣が跋扈する辺境の地。
求人を見つけて訪れた竜騎士団で、彼女は衝撃の光景を目にします。
国最強の生物兵器と恐れられる黒竜が、狂ったように暴れ回っていたのです。
誰もが恐怖に震える中、エルマの耳には竜の切実な叫びが届いていました。
『そこじゃねえ! 右の翼の下だよ! かゆいんだよ!』
手にしたのは、一本の掃除用デッキブラシ。
魔獣の言葉を通訳できる彼女が、恐る恐るその背中に触れたとき。
冷徹と噂される騎士団長の瞳に、思いがけない感情が宿ります。
誤解され続けてきた彼女の力が、言葉の通じない竜と人を繋ぐとき。
孤独だった彼女を待っているのは、どのような新しい居場所なのでしょうか。


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