社畜聖女は定時で帰りたい

過労死した。
それが広告代理店で進行管理をしていたミコトの人生の結末だった。

目を覚ました先は異世界の神殿。
聖女として召喚された彼女を待っていたのは休日なし残業無限のブラック職場。
前世より酷い。

三日目にして悟る。
このままでは二度目の過労死だ。

だから宣言した。
定時で帰ります。

前世で叩き込まれた進行管理のスキルを武器にトリアージを導入しシフト制を敷き予約制度を整える。
数字は嘘をつかない。
改革の成果は確実に出ていた。

けれど神殿を支配する大神官はミコトの改革を怠慢と呼び王宮に罷免を訴える。
慈悲深い笑顔の裏で彼が二十年間隠し続けてきたものを知った時ミコトの手にはまだ一枚のカードも残っていなかった。

唯一の護衛だった騎士団長は聖女が倒れたら国が困ると言うだけの無愛想な男。
任務だと繰り返すその人が夜中に誰にも言わず治療院の残務を片付けていることをミコトはまだ知らない。

契約書に仕込んだ一行は届くのか。
四十七日分の記録に書かれていたものは何か。

過労死した魂が休んでいいと言われる日は来るのだろうか。

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