容姿端麗、品行方正、そして愛らしい声音を持つ令嬢として称賛されて来たエルヴィーラ。
しかし婚約者であるテオバルトは、彼女の心が自分に傾かない事に不満を抱いていた。
そして……
「その耳障りな声が周りに迷惑を与えているとは考えられないのか?」
エルヴィーラへそう吐き捨てた。
しかしこの言葉、彼女にとっては都合がいいものでしかなかった。
彼女は人の顔色を窺いながら話さなくてはならない社交界という場に辟易としていたのだ。
それ以降、彼女は一切話さなくなった。
そしてある日、
「お前との婚約を破棄するッ!!」
テオバルトはそんな事を言い出し、用意してきた冤罪の材料をベラベラと話し出す。
……彼は知らなかったのだ。
皆が自分に疑念の視線を向けている事を。
そして――
時に口数は――少ない方が優位に立てるという事を。


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