魔王を倒した勇者は、「俺の仕事は終わった」と言い残して去った。
だが、戦争は「倒した」だけでは終わらない。
魔王軍の残党三万は行き場を失い、国境線は曖昧なまま。難民は溢れ、隣国は領土を主張し、同盟国は戦後の分け前を要求してくる。
──これ、魔王倒すより面倒だろ。
そこに送り込まれたのは、チートなしの「凡人枠」転生者。前世は外務省の在外公館に三十年勤めた領事官。──外交官というよりは事務屋だが、本人いわく「外交官って言った方が話が早い」。
剣も魔法も使えない。だが「領事協定の起草」「難民の法的地位の確保」「現地政府との折衝」なら、前世で三十年やってきた。
誰にも注目されない「地味な交渉」で、勇者が放り出した戦後を片づける。
チートで終わらせた戦争は、チートでは片づかない。
必要なのは──地味で、退屈で、誰も褒めてくれない「外交」だった。


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