公爵令嬢のリディアはここ最近、気がおかしくなりそうなほどマナーに気を使っていた。
しかしどんなに気をつけていても、婚約者のテレンスは背もたれに背をつけた秒数を数え、グラスの持ち方、飲むときの目線まで事細かに指摘して数時間も説教を繰り返す。
そしてそれはリディアを愛しているがゆえの教育なのだと言い張る。
そんなテレンスの言葉を受けてリディアは、とあるパーティーでマナー違反も甚だしい真っ黒なドレスを着て参加した。
目が合った途端に、隣に並ぶ気などないとばかりに身を翻し逃げだそうとするテレンスに声を張って問いかける。
「あらあら? おかしいですね? どこに行こうというの? いつものように指摘してくださらないの? わたくしを愛しているのに?」


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