冷たい夫が毎晩私の部屋の前で足を止めていると知ったのは、侍女のうっかり発言のせいでした

結婚して三ヶ月。
夫と目が合った回数を片手で数えられる。

前世の記憶を持つリーゼロッテには覚えがある。
愛されない場所で笑い続けて心が空になっていく感覚。
同じ過ちを繰り返すくらいならと離縁届を書いた。

差し出した封書を受け取った夫の指が震えていた。
それなのに彼は何も言わなかった。

荷造りを始めた日、侍女が泣きながら口を滑らせる。
毎晩あなたの部屋の前に立って手を上げてノックできずに帰っていくのだと。

この夫は愛していないのではなかった。
愛し方を知らなかった。

離縁届を握りしめたまま机に突っ伏していた男の目は赤かったのか。
それとも氷のままだったのか。

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