『断罪は成功した。国が傾いたのは、別の理由だと思いたい』─失われたものの名

著者:月白ふゆ

断罪は成功した。拍手も、正義も、確かにそこにあった。

王国の公爵令嬢エリシアは、王太子の婚約者として政務を支えてきたが、
ある日、曖昧な罪状のもとで盛大な断罪劇が行われ、婚約を破棄されて国を追放される。

物語はそこで終わったはずだった。
だがその後、王国では小さな不具合が重なり始める。

一方、隣国の小国セレスティアで保護されたエリシアは、
何かを主張することも、決定を下すこともなく、ただ静かにそこに在る。

彼女が同席すると議論は収まり、人は疲れすぎず、
国の歩みは不思議と整っていく。

断罪は成功した。
それでも、なぜか国は傾いていく。

失われたものの名を、誰も口にしないまま。

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