七年間 誰にも見られていなかった
毎朝四時に冷たい石の床に手をつき
毎夕六時にもう一度
この国を守る結界に魔力を注ぎ続けた
聖女の影で名前すら呼ばれない日々を
それでも構わないと思っていた
誰かの役に立てるならそれでいいと
自分に言い聞かせて生きてきた
ある日 聖女の一言で神殿を追われる
引き継ぎ書類は受け取ってもらえなかった
北の辺境にたどり着いた私を待っていたのは
三年前から私の仕事を見ていたという寡黙な騎士団長と
身に余る待遇の招聘状だった
追放から五日目
王都の結界に綻びが生じたという報せが届く
結界が誰の手で維持されていたのか
この国はまだ知らない


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