「身の程を知れ、この平民上がりが!」
男爵家の養女エレノアは、婚約者である子爵令息アルベールに、夜会の衆目の前で婚約破棄を突きつけられた。隣には涙ぐむ可憐な令嬢。どうやら「真実の愛」に目覚めたらしい。
身の程を知れ、と言われたので――知ることにした。
翌日から社交界の末席で大人しく……するわけもなく、エレノアは婚約者のために封じていた本来の仕事を再開する。
彼女の正体は、匿名で王宮に財務改善案を送り続けていた凄腕の実務家だった。
養家の体面を気にして名前を隠していたが、もう遠慮する理由はない。
堂々と名乗りを上げた途端、王宮から正式な招聘状が届く。
「——君が《匿名の賢者》か。三年間ずっと探していた」
そう言って現れたのは、冷徹な切れ者と名高い公爵ルートヴィヒ・ノルトグラーフ。
国の財政を預かる彼は、エレノアの提案書を誰より正確に評価していた唯一の人物だった。
「私の補佐官になれ。……いや、妻になれ。その方が話が早い」
「プロポーズが業務効率化の一環なのはどうかと思います」
「効率は褒め言葉だ」
一方、エレノアを捨てたアルベールは、彼女が裏で回していた実家の経営が瞬く間に傾き、泣きついてくる始末。
「身の程を知れと仰いましたよね? 知りましたわ。どうやら私の身の程は、貴方よりだいぶ上だったようです」
「身の程を知れ」と婚約破棄されたので身の程を知った結果、私の身の程は公爵夫人でした
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