王国の聖女として三年間祈り続けたアルシエラは、ある日突然「偽物」と断罪され、公開の場で婚約を破棄された。
群衆の罵声を浴び、聖女紋章を焼かれながら、彼女は感情を爆発させることなく、ただ一言だけ告げる。
「——では、もう祈りません」
誰もその言葉の意味を理解していなかった。
自分の祈りが寿命を削っていたこと。王家の術式が己の魂を搾り取っていたこと。すべてを知ったアルシエラは静かに決意し、隣国へ渡る。
一か月後、魔物侵攻。
二か月後、疫病。
三か月後、飢饉——。
三年後。やつれ果てた王太子が、石畳に両手をついた。
「祈ってくれ」アルシエラは、穏やかに口を開いた。
「祈りを止めたのは、あなた達ですよ?」


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