伯爵令嬢エミーリエは、父と義母、義妹のヘルガに冷遇されていた。
そんな幼少期に、彼女は自分と同じく、日々暴力を受けた痕を抱えるボロのろな少年に出会う。
二人は大人の目を盗み、小さな手を繋ぎ合いながら街を駆け回った。
一人になれば、恐ろしく、苦しい現実が待っている。
そんな事実から目を逸らし、身を寄せ合う一時の幸せが、エミーリエにとっては何よりも尊いものだった。
それから十年が経った頃。
エミーリエは入学先の魔法学園で、王太子となった当時の青年ラルスと再び言葉を交わす事に。
エミーリエは近いうちに自分が婚約者であるルートヴィヒ殿下に婚約破棄を突き付けられる挙句、悪女であるという冤罪を掛けられるらしい事を知る。
その話を知ったラルスはエミーリエに言う。
「君がいたから、今の俺がある」
「もし今の君が、あの頃の俺のように一人で進む事が出来ないのなら……今度は俺が手を引いていく」
エミーリエは、人生で初めて、自分へ向けられる悪意と対峙する事を選択するのだった。
エミーリエの覚悟。
自信がないだけで聡明な彼女が反発するだけでも、ルートヴィヒにとっては厄介なものだったのだがそれに加え、ラルスはあるものを彼に突きつけた。
「国王陛下から、兄上とエミーリエ嬢の婚約の解消、並びに私とエミーリエ嬢の婚約を成立させる旨の命を賜りました」


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