夫の愛人が八年間「奥様」を名乗っていたので、本物は静かに身を引きます

伯爵家に嫁いで八年。夫とは白い結婚のまま、私は領地の帳簿を整え続けた。

ある日知ったのは、夫の愛人が社交界で「伯爵夫人」として振る舞い、私が建て直した領地の成果を自分の手柄にしていたこと。

怒りは、ない。ただ帳簿を閉じ、引き継ぎ書を残して屋敷を出た。

三ヶ月後、領地の税収は半減し、隣領の冷徹辺境伯が私の帳簿を「美しい」と呼んだ。

――帳簿で口説かれるとは、思わなかった。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー