王太子レンナルトの婚約者である公爵令嬢イーリスは、王立学園で、レンナルトとの距離を縮めようと彼に迫る生徒を追い払う嫌われ役を買って出ていた。
その中で非常に厄介でしつこい存在が伯爵令嬢ブリギッタ。
彼女や、彼女の肩を持つ者達から、イーリスは「我儘悪女」と揶揄されてきた。
しかしそれでもイーリスにはレンナルトに変わって彼女達を追い払う目的がある。
厳しい口調であっても、嫌味のように聞こえる様な言葉遣いとなってしまっても、彼女達をレンナルトへ近づけてはならないのだ。
そんな使命感に駆られていたイーリスだったが。
ある日、ブリギッタ達の悪意ある言葉を浴びて胸を痛めてしまう。
そして、レンナルトはそれに即座に気付くと――イーリスの前に出て
「煩わしい」
そう吐き捨てた。
その顔、視線、声の全てに静かで大きな怒りが宿っていて、ブリギッタ達の顔は恐怖で歪んでいくのだった。
(だから……悪役を買って出ていたのに……っ)
イーリスがレンナルトの前に出ていた理由。
それは――怒った彼がトラウマ級に怖いからなのであった。


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