結婚八年目の朝、夫は親友のセレナを連れて朝食室に現れた。
私の前で彼女にキスをし、こう告げる。
「君には感謝している。八年間、留守番してくれて」
ええ、留守番でしたとも。あなたが知らない間に、領地経営も交易も使用人の給金も、ぜんぶ一人で握りしめていただけの、ただの留守番。
私は微笑んで離縁届に署名し、八年前あなたが何も読まずにサインした持参金返還契約書を差し出した。
実家に戻った私は、何もしなかった。ただ、あの家から足を外へ出しただけ。それだけで、八年間が音を立てて崩れていく。
これは、十年間ずっと私の手紙を内ポケットにしまっていた地味な学者の隣で、私が八年ぶりに声を出して笑うまでの物語。


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