婚約破棄された社畜令嬢、腹いせに定時退勤したら国が回らなくなりました

誰よりも早く出社し、誰よりも遅く帰る。それが、わたしの日常だった。

王宮事務官のイルメラ・ヴェストは平民出身ながら類まれな実務能力で宮廷の裏方を一手に担う。

上司の功績として奪われる仕事も、終わらない残務も、すべて呑み込んできた。唯一の支えは、王太子ヨアヒムとの婚約という約束だった。

だが、ある夜。華やかな舞踏会の最中、ヨアヒムはイルメラとの婚約を破棄し、新たな令嬢の手を取る。

翌日、イルメラは生まれて初めて「定時」に退勤した。

たったそれだけのことで、王宮は止まった。届くはずの書類は届かず、動くはずの予算は凍りつき、各部署の連携は瓦解する。

誰も気づかなかった——この国の行政が、たったひとりの女の献身で回っていたことに。

やがてイルメラは知る。婚約破棄の裏には、彼女を宮廷から排除しようとする貴族派閥の思惑があったことを。

そして、彼女が黙々と処理してきた書類の山の中に、この国を蝕む巨大な不正の証拠が眠っていたことを。

社畜令嬢の静かな反撃が、やがて国の形を変えていく。
——わたしの残業代、利息をつけて返してもらいます。

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