公爵令嬢リディア・エルネストは、王城の夜会で前世の記憶を取り戻す。
自分はこの世界で、平民出身の聖女候補をいじめた悪役令嬢として断罪されるらしい。
けれどリディアは思った。
聖女候補が現れるから悪役令嬢にされるのなら、先に自分が聖女の職に就けばいいのでは?
翌朝、リディアは王宮ではなく神殿へ向かい、履歴書を提出する。
歴代最高の聖属性魔力により即採用されたものの、聖女職の実態は、未処理の浄化依頼、貴族の無茶な祈祷願、倒れる神官たちが積み上がる超過勤務の山だった。
「無理をして聖女が倒れたら、明日の民は誰が救うのですか?」
リディアは順番札、優先札、手順札を導入し、祈りと浄化の現場を次々と改革していく。
その結果、神殿は少しずつまともになり、書記官セオは定時退勤に目覚め、聖女候補になるはずだった少女ミリアは浄化技師補佐として自分の道を歩き始める。
一方、リディアを悪役令嬢にするはずだった王太子の恋愛劇は、主役不在のまま空回りしていき――。
これは、悪役令嬢になる予定だった少女が、先に聖女の職に就き、王国を救いながら今日もきちんと定時で帰る物語。


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