夫の馬車が愛人宅へ向かう音を、私は数えるのをやめた。
結婚五周年の翌朝、届いた隣国の建国祭の招待状。月下の回廊で声をかけてきたのは、私と同じ目をした公爵だった。
「妻が吟遊詩人と駆け落ちしました」「夫は今夜も愛人のもとにいます」。
笑いあった私たちは、やがて、二国間の古い条項をひとつ、目覚めさせる。
元夫が雨の門前で跪いた朝、私は桃のパイを焼いていた。焦げ目を、少し、気にしていた。
夫は今夜も愛人のもとにいる
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