妹が病弱だったから。
その理由ひとつで、エレノア・グランチェスターはずっと譲らされてきた。
楽しい予定も、綺麗な装いも、社交の場での花も。
「姉なのだから」「あの子は弱いのだから」と言われるたび、少しずつ下がるのが当たり前になっていた。
けれど妹はもう、弱くない。
それでも母は言う。婚約者との最初のダンスを、妹に譲ってちょうだい、と。
もうたくさんだった。
初めて拒んだ瞬間、周囲は彼女を“妹に冷たい悪役令嬢”として見始める。
婚約者は彼女の痛みではなく、その場の空気だけを惜しみ、ついには婚約解消を告げた。
ならば、もういい。
誰かを引き立てるために生きるのは、ここで終わり。
これは、ずっと我慢させられてきた姉が、自分の足で立ち直すまでの話。


レビュー