公爵令嬢リクシエルは、王太子エドリックの婚約者として、幼い頃から未来の王太子妃になるための教育を受けてきた。
けれど彼女は、感情の扱いだけがどうにも下手だった。
傷ついても素直に傷ついたと言えず、悲しいとも寂しいとも言えない。
ただ怒りや皮肉の形でしか、それを外へ出せない。
そんな彼女の前に現れたのが、可憐で控えめな子爵令嬢セシール。
王太子へ無邪気に寄りかかるその姿に、リクシエルは苛立ち、ますます拙い振る舞いを重ねていく。
やがて彼女は“嫉妬深く高慢な悪役令嬢”として見られるようになり、ついには大勢の前で婚約破棄を告げられてしまう。
だがその場で口を開いたのは、王妃筋の公爵令息フェルディオだった。
幼かったのは、本当に彼女一人だけだったのか。
未熟な娘にだけ、大人であることを求めてきた者たちに責はないのか。
これは、悪役令嬢になった少女と、彼女をそう見せた周囲の幼さにきちんと線を引く話。


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