婚約破棄の瞬間、全国民に“実況”されました~無能王子の公開処刑が始まったようです~

著者:カルラ

卒業記念舞踏会の夜。
王太子ユリウスは、婚約者である侯爵令嬢リリアーヌに向かって、会場中の貴族の前で高らかに宣言した。
「リリアーヌ! お前との婚約を破棄する!」
続いて聖女ミレイアが涙ながらに訴える。「彼女に、ずっといじめられていました」と。
完璧な悪役令嬢の絵面が整った——その瞬間。
空から、陽気な声が降ってきた。
『おーーっとここで王太子、婚約破棄宣言だァーーーッ!!』
国民なら誰でも知っている「天の声」が、よりによって今夜、動き出した。
祭りや競馬を盛り上げるはずの実況が、王太子の不祥事を全国に向けて流し始めたのだ。
『リリアーヌ嬢の実績ご紹介ィ!! 王家財政の管理! 外交文書のチェック! 地方税制改善案の立案! 全部ひとりで担当しておりましたァーーッ!!』
『王太子、サインしかしてませーーん!!』
『聖女ミレイア、本日三回目の嘘泣きィ!!』
貴族は凍りつき、街の酒場は沸き上がり、市場の商人は手を止めて聞き入った。
全国が、この実況にくぎ付けになっていく。
リリアーヌ本人は? ……羞恥で死にそうになっていた。
目立つのが大嫌いな地味な令嬢が、よりによって全国放送の主役にされていく。
ざまぁよりも恥ずかしい。
王子の公開処刑より自分の公開処刑の方がつらい。
やがて明かされる天の声の正体、王国財政の真実、そして支持率の発表——。
『現在の支持率! リリアーヌ嬢、九十八パーセント! 王太子、三パーセント!!』
『なお残りの三パーセントは王太子本人と側近でございまァーーす!!』
笑いと驚きと、少しの感動が詰まった、全国放送ざまぁコメディ。
今夜この国で、一番有名な令嬢になってしまった苦労人の物語、開幕です。

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