妹が「寒い辺境も傷のある旦那様も嫌」と言うので身代わりで嫁ぎました。今さら代わってと言われても、もう遅いです

「寒い辺境なんて嫌よ。傷のある方と暮らすなんて、わたくしには無理」

伯爵令嬢ミリアは、妹セリーナの代わりに、雪深い北の辺境伯グレイへ嫁ぐことになった。

家族は言う。

「お前なら我慢できるだろう」と。

だが、これは不正な入れ替わりではない。

正式な婚姻書にはミリアの名が記され、王都婚姻局にも花嫁変更届が提出された。

つまり、ミリアは「仮の妻」ではなく、最初から正式なノルヴァルト辺境伯夫人として嫁いだのだ。

寒い北の屋敷で、グレイは最初に告げる。

「嫌なら、離縁の道を用意する。だが、ここにいる間は客ではなく、私の妻として扱う」

実家で便利な娘として扱われてきたミリアは、初めて自分の意志を問われる。

不器用な夫。

厳しい冬。

実直な使用人たち。

雪に閉ざされた領地。

けれど、そこでミリアは知る。

自分が「地味」と言われてきた針仕事も、保存食の工夫も、子どもたちの冬靴を見る細やかさも、北ではちゃんと誰かの役に立つのだと。

やがて春。

ノルヴァルト辺境伯家の名声が王都に届くと、妹が現れる。

「やっぱり、わたくしが辺境伯夫人になるべきだったわ」

けれどミリアは、もう実家の便利な娘ではない。

「もう遅いわ。ここは、我慢している場所ではないもの」

これは、押しつけられた嫁ぎ先で、本当の家と夫を得る令嬢の物語。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー