侯爵夫人リディアが毎朝作っていた香り袋を、夫は「ただの暇つぶし」と笑っていた。
ある日、夫はその香り袋を踏みつけ、リディアの薬香室を幼馴染の療養部屋にすると告げる。
けれどその香り袋は、王宮薬香局に正式登録された厄除け香。
診療所、孤児院、産院、夜警詰所、共同井戸を守るため、王都中で使われているものだった。
薬香室を失った以上、品質は保証できない。
リディアは静かに、王都へ納めていた厄除け香の全回収を決める。
夫が踏みつけたものは、ただの香り袋ではなかった。
目立たない仕事で王都を支えていた侯爵夫人が、自分の価値を取り戻すお話。


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