「姉だから」十年間も命を削ってきましたが、婚約者まで譲れと言われたので、家族と縁を切ります

「今日の魔力、少しちょうだい」

 身体の弱かった妹のために、エレナは十年間、毎朝魔力を分け与えてきた。

 妹は天才と褒められ、エレナは魔力の少ない娘だと言われた。

 それでも、妹のためになるならと思っていた。

「アルベルト殿との婚約を、ミリアに譲ってほしい」

 今度は、大好きな婚約者まで譲れという。

 父は言う。お前が我慢すれば、丸く収まる。

 母は言う。お姉ちゃんでしょう、と。

「では、皆様とは今日限りで縁を切ります」

 家を出たエレナは、自分の意思を伝えるために婚約者のもとへ向かう。

 一方、試験で、天才だったはずの妹は小さな火しか灯せなくなっていた。

「私はエレナと婚約したのであって、ミリア嬢と婚約した覚えはない」

 これは、何もかも譲ってきた姉が、好きな人も、自分の人生も、もう譲らないと決めるお話。

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