「お前との婚約を破棄する」と仰いましたので、未消化の有給休暇六十日を使い切ってから出ていきます ~休暇中につき、火竜のお世話は承れません~

著者:更田遅筋

 朝食の席で、婚約者に言われました。「お前との婚約を破棄する」

 承知しました。ただし、出ていくのは六十日後でございます。

 婚約契約の第七条、竜番の職務に対し年二十日の休暇。三年間、一日も取っておりませんので。

 わたしは屋敷に残って、堂々と休みます。

 ――ところで、この屋敷の暖房と湯と竈の火は、わたしにしか懐かない火竜が担っているのですが、皆様、この冬はどうなさるのかしら?

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