彼が黒髪だったから

十歳の頃、私は淡い初恋をした。その日から滅多に王都へ来ない彼を思い出し、ついつい同じ黒髪を持つ人物をよく目で追っていた。
そんなある日のこと。父が機嫌よく、満面の笑みを浮かべて帰ってきた。そして出迎えた私の顔を見てこう言ったのだ。

「アリシア!縁談を決めてきたぞ!だから頑張るんだ!」
「え?」
頑張る、の意味がわからず首を傾げた。
その次の日、その人物がやってきた。
そして気づいた。父の言っていた頑張る、の意味を。

お父様、もしかして勘違いしたの!?

彼は私の初恋の相手と同じ黒髪を持つ人物だった。

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