王太子殿下の婚約者は悪役令嬢、なのです!

著者:穂波

「わたし、じゃない、わたくし、シャル、じゃなかった。アシル殿下の婚約者(悪役令嬢)として、しっかりお役目を果たしてみせますわ!」
「何で言い直した?」
「それが王太子殿下の婚約者(悪役令嬢)であるわたくしの役目ですもの!(エッヘン!)」

そんな悪役令嬢を目指すぽやぽや天然勘違い暴走侯爵令嬢と婚約者溺愛王子と巻き込まれ男爵子女の話。

「貴様、男爵家の娘の分際で俺のヴィーに付き纏うとはいい度胸だな」
「違います! 誤解です! むしろ私が付き纏われている側ですって!」
「黙れ、ヴィーを誑かす女狐が!」
「キャー!」
「逃がすか!」
「まあ! ルシンダさんったら! 淑女がそんな風に走るなんてはしたないですわよ! メッ! ですわ! お待ちなさいなー!(トテトテ)」
「ああ、ヴィー。そんなに走ったら危ないだろ。転けて怪我でもしたらどうする」
「きゃっ。離して、シャル。じゃなかった、アシル殿下。わたくし、あの方に淑女としての心構えを指導しなくてはなりませんの!」
「わざわざヴィーが気にかける必要なんてないだろ。あの娘のマナーが無様で目障りなら、適当にマナー講師を用意するから」
「駄目よシャル。ルシンダさんの相手は、王太子殿下の婚約者(悪役令嬢)であるわたくしの役目なの。だから離してちょうだいー!(ジタバタ)」

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