時計屋の兎(ラビット)

ラビットの前世は一個の懐中時計だった。十年前、スラム街の路地で野垂れ死にかけていたラビットを拾った彼女に「ラビット」と名付けたのは、酔狂な伯爵ウィルバード。それから十年。十七歳になった彼女は、その酔狂な伯爵に一つの時計店を任されていた。ある日、ラビットの店に訪れたウィルバードの友人ドルバー教授は、一つの懐中時計をラビットに手渡す。前世が時計だったせいか、ラビットは時計たちの「声」を聞くことができると言う特技を持っていた。ドルバー教授に渡された銀色の懐中時計は、自殺したという子爵令嬢ナターリアのものだった。時計がラビットに見せるのは、生前の彼女の恋人と思しき男の姿。ナターリアは本当に自殺だったのか。時計はラビットに何を伝えようとしているのだろうか。
前世が懐中時計の少女と、十二歳年上のわけあり伯爵の、ラブコメディです。

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