ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-

「ただいま、愛花」
「おかえり、おーちゃん」
兄妹でもない。恋人でもない。
だけど同じ部屋から出かけて、同じ部屋に帰ってくる。
わたしたちの関係は、きっととても奇妙なもの。
「お前は大事な妹みたいなもんだからな」
こんなにも近くにいるのに、届かない。
もっともっと、近づきたい。
「ちゅーして」
「……ませガキめ」
必死に背伸びをするわたし、17歳。
優しくて大人なおーちゃん、24歳。
ふたり一緒の生活は楽しくて、あったかくて、ドキドキして。
……それがとても、痛くて苦しい。
「ひとりにしたくない。他の誰かじゃなくて
……俺が、そばにいてやりたいって、思う」
「お前のいない生活とか、俺のほうが耐えらんねーの」
マトリカリア 305号室。
このふたりぐらしに幸せを感じてしまうわたしを、
——どうか彼女が、許してくれますように。
*****
*yukipy様*
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