公爵様。貴方様は本当に、あの日わたしを助けてくれた王子様なのですか……?

著者:柚木ゆず

 わたしには10年間待ち続けている、大好きな人がいました。
 その人はかつて隣国で迷子になってしまった際に、優しく助けてくれた男の子。わたしはその時に恋をして、幸せなことにその子もわたしを好きになってくれたんです。
 でもその人は何かしらの理由で今は名前と身分を明かせず、その上20歳になるまでは――10年経つまでは、もう会えないと仰られました。
 ですのでわたし達は10年後の再会を約束し、今日がその日。迎えに来てくれる王子様をドキドキしながら待っていると、なんと筆頭公爵家の現当主様であるアルチュール様がいらっしゃったのです。
 この方が、あの日の王子様。やっとお会いできて、嬉しい。
 ……そう、思っていたのですが――。暫くすると、違和感を覚えるようになりました……。
 アルチュール様。貴方様は本当に、あの日わたしを助けてくれた王子様なのですか?

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