新しい国王と王妃のままごとのようでいて時々血腥い新婚生活

 戴冠式から一月後。新しいヴィンセント国王となったウルは、幼馴染ロッツ・フェルデンの一人娘を王妃として城へ召し上げた。
 ここに、二十四歳と三歳の年の差夫婦が誕生する。事情を知る前国王は、息子のウルが今まで見たこともないほど柔らかな笑みを浮かべ、一つ満足そうに頷いただけだった。
 対して、大臣達は突然の国王の結婚と王妃の幼さに騒然となり、社交界は混乱を極めることになる。当然、ロッツは娘の嫁入りに大反対した。
「――殺してやる」
 ロッツとは生まれた時からの付き合いであるウルも、真っ赤に充血した目で至近距離から覗き込まれてそう凄まれたのは初めてのことだ。ところが、彼よりも力のある人物――宰相を務める公爵家当主、つまりロッツの父親が孫娘マイリの嫁入りをあっさり承諾してしまった。王家との婚姻で、フェルデン公爵家は今後ますます栄えていくことだろう。
 こうして、新しい国王と弱冠三歳の王妃による、ままごとのようでいて時々血腥い新婚生活が始まったのである。

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