邪魔者の私は家族の元から消えましたが、その結果……

著者:鈴村

「メアリー、おれはお前よりも妹のナンシーの方がいいから、婚約破棄しよう」
こんなクズな婚約者に、一時でも気を許した自分が許せなかった。
「惨めねお姉さま。まあ、私の美しさは隠しきれないから、仕方がないわ」
これが、私の婚約者を奪った妹のセリフである。
当然、反省する様子もない。
『とある理由』で、両親は妹のわがままを放任しているけれど、これはあまりにも酷い。
人の婚約者を奪うなんて、何を考えているの?
「あなたはもう、私たちの家族のようなものよ」
「そうだな。ナンシーのこと、よろしく頼む」
そんな婚約者と妹を当然のように受け入れる両親。
私のことなど、眼中にないのだろう。
姉の不幸を気にも留めず、妹の幸せを喜ぶなんて、私のことは、どうでもいいの?
すべてが狂っている。
もうこんな家、出て行ってやる。
そう決心したのだが……。
「……あれ? ない。なくなっている! なんで……」
ある日、自室の机の引き出しを見ると、私が何年もかけて貯めたお金が無くなっていた。
この家を出て一人で暮らしていくために、頑張ってためたお金だったのに……。
お金が無くなっていた原因は、すぐに判明した。
両親が私のお金を勝手に使っていたのだ。
この時、私の中で、何かが変化した。
家族に抵抗することなんて、すっかり諦めていたけれど、その考えは甘かったようだ。
何年も我慢してきたのだから、少しくらい仕返ししても、罰は当たらないわよね。
近いうちに、破滅しながら、自分たちの行いを後悔する時が来ますよ……。

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