「ああ、何てことだイザベラ…指は節くれだち、腰は曲がり、髪は色が抜け落ち真っ白になり、顔は皺だらけになってしまうなんて……なんてみにく……くない?………あれ……なんか………かわいいぞっ!」
「はいっ!?何をおっしゃってるんですか王子、こんな一大事に不謹慎ですよ!イザベラ様、こんな姿になって……なんておかわいそ………あれっ………かわいい……すっごくかわいいじゃないですかっ!」
「そうだろうっ!?以前のイザベラの強気で挑戦的な睨みつけるような冷たい瞳が温かく可愛らしいたれ目になって愛嬌があるし…」
「そうなんですよ!険のある不愛想な印象が一変して、全体的な雰囲気や表情もすごく明るく柔和になって…」
「…まあまあ…美男美女の二人に、そんなに褒められたら、年甲斐もなく照れてしまうじゃないかい…王子、マリサ、ありがとねぇ…」
「なっ…あのイザベラが…照れて…恥ずかしがって感謝しているぞっ!…なんだこれ…愛らしいにもほどがあるぞ!?」
「本当ですわっ!…王子…今日はイザベラお婆ちゃんを我が家に連れて帰ってよいかしら?」
「だめだっ!絶対誰にも渡さんぞ!」
(なんでそうなるのよっ…おかしいわ…どうしてこうなってしまったの…)
頭を抱えているルイズ男爵令嬢。さんざんいじめられてきたイザベラ公爵令嬢に復讐しようと魔道具屋から老化薬を手に入れ、彼女の飲み物に仕込んだ。
狙い通り、見事薬が効いて老婆になったイザベラは…とても可愛いおばあちゃんになってしまった。店主からは聞いていなかったが、見た目だけではなく精神にも干渉する高度な老化薬だったらしく、高圧的で傲慢だった性格がすっかり影を潜め、大人しく穏やかに成熟して見た目も中身もすっかり素敵な、まさに好々婆になっていた。
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