「貴様の悪事は全て見ていたんだ!」と断罪する王子と、全て見られていたと知って動揺する悪役令嬢と、そんな二人を見ている平民娘の話

「エヴリン・アッシュクロフト公爵令嬢、君との婚約は破棄する! 新たな婚約者はここにいるアリス・アバーナシーだ!」

僕――イーサン王子は、卒業パーティの式場で大声で告げた。

突然のことに動揺する令息令嬢たち。
僕を見上げ、呆然と立ち尽くすエヴリン。
そして僕に肩を抱かれ、顔を俯けるアリス。

そう、僕は見ていたのだ。
エヴリン公爵令嬢という表の顔に隠された本性を。

「エヴリン! 君がこのアリスを階段から突き落とそうとしたのを僕は見ていたんだ!」
「君はアリスの教科書を秘密裏に捨てた! 僕は見ていたんだ!」
「さらにだ! エヴリン、君が取り巻きの令嬢たちを差し向けて彼女をイジメているところも見たんだ!」
「まだまだあるぞエヴリン! 君が彼女の靴を隠すところも、君が彼女の生まれを馬鹿にするところも! 君が足を引っ掛けて彼女を転ばせたところも見た!」
「彼女に対して公爵令嬢という立場をひけらかして威張り散らしてるところも! 彼女を黒魔術で呪っているところも! 学食に焼きそばパンを買いにパシらせてるところも! 靴に画鋲を入れるところも、僕は全部全部見ていたんだ!」

そう、僕は全部見ていたのだ。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー