【連載版】がんばれ農協聖女 ~聖女としての地位を妹に譲れと言われた農強公爵令嬢と、聖女としての地位を譲られて王太子と婚約した双子の妹の話~

「二度と私の人生に顔を出さないで、アリシア。土臭くて泥臭いアンタにはユリアン王子なんか勿体ないわ。私が貰ったげるわね」

私――アリシア・ハーパーは、華やかで愛らしい双子の妹のノエルと違い、地味で可愛げのない女。それ故に十歳から次期聖女として勉学に励んだのに、両親に愛されることがなかった。昔から両親はなんでもノエルの望むままに私からむしり取り、妹に与えた。そして今回は聖女としての地位と、私の婚約者であったユリアン王子さえ、私からむしり取った。

聖女の地位を妹に譲った私が妹を送り出す際、私は妹のノエルと元婚約者であったユリアン第一王子に裏切られていたことを知る。人間不信に陥り、傷物になった私がひっそり隠棲することを考えていた時。私の農業の知識に目をつけていた「黒幕辺境伯」ロラン・ハノーヴァー令息に求婚され、私は遠くハノーヴァー家へと嫁ぐことが決まった。ハノーヴァー領の農政のブレーンとして私に全幅の信頼を寄せてくれるロランに、私はいつしか心惹かれていく。

だがノエルが新たな聖女兼王太子妃として就任し、私がハノーヴァーの領地経営をする間、王国には徐々に大飢饉の徴候が出始める。元聖女候補として私がハノーヴァー領の救済に奔走する一方、聖女の任をこなすことができない妹のノエルは徐々に追い詰められていく――。

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