嘘に感謝する日

著者:間咲正樹

桜の花びらが舞い散る庭園。
私はそこで、婚約者である王太子殿下とお茶を飲みながら、二人の時間を過ごしていた。
とはいえ、元来無口である殿下は、先程から一言も発さず黙々と紅茶を口に運んでいるばかり。
そして私もあまり人と話すのが得意な方ではないので、殿下につられてつい無言になってしまう。
まあ、私達は所詮政略結婚で婚約者になった間柄だ。
殿下は私のことなど、露程の興味もないのだろう。
――たとえ私が殿下をどれだけお慕いしていたとしても。

「……そういえば、今日は『嘘に感謝する日』だったな」
「……え?」

が、殿下は不意にそう言うと、今から噓をつくと宣言し……!?

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