火事で仕事と家を失ったアイリーンが幸せを見つけるまでのお話です。
「ところで、アイリーン嬢。
先ほどのドレスを見せてもらえますか?」
私は頷いた。
すると…ミリーさんは、私のドレスを持ってきた。
伯爵様は、私のドレスを裏返したり縫い目を確認したりした…。
何度かほつれて直すためにあて布をしてあるのも見られた…。恥ずかしい!!!
そんな事は気にしていないようで、伯爵はドレスの内側のさらに裏を確認している。
私、怪しい薬とか隠してませんからね!!
ところが伯爵は嬉しそうに顔を上げた。
「やっぱり!この内側の見えないところに、我が姉の名前が入っている…!!!
このドレスは、ドレスデザイナーとして独り立ちした姉の初期のドレスです!
本物はほとんど無くて…デザイン画を元に、レプリカを作ったのしか手元に無いんです。
この薄くて繊細なレースを作れる職人は今いないんですよ。この柔らかいレース…素晴らしい!
どこをとってもすごい!!!」
伯爵は嬉しそうな顔でドレスを大事そうに抱えた。
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